駿府九十六ヶ町 400年後の妄想まちあるき vol.2

駿府九十六ヶ町を愛する石川たか子さんと共に、町名の由来を学んだり400年前の情景を妄想しながら、その町のカフェでひと休み。そんなゆるめのお散歩「妄想まちあるき」を、シズオカオーケストラの井上がレポートします。

今回のまちあるきルートはこちらをクリック

ナビゲーターは石川たか子さん。主旨に賛同して集まってくださった5名のメンバーと共に妄想まちあるきが始まります。今回の待ち合わせは夕暮れ時の繁華街、多くの人が行き交う中に鎮座する小梳神社。前回の振り返りと、自己紹介からスタートです。

この小梳神社、もともとは追手町(旧青葉小学校辺り)にあり、下横田という古代から続く地の氏神様だったとのこと。その後神主である新谷家の屋敷があった新谷町を経て、1670年頃に現在の場所に移ったそうです。

賑やかな人通りの中、果敢にも”妄想中”のサインを掲げ、紺屋町を歩きます。AOIタワーの辺り、明治維新後は”大東館”という館があり、かつて石川さんのお祖父様が、ここで売っていたアイスクリームを好んだというエピソードも。

南を向けば今は当然のごとく静岡駅がありますが、江戸時代はもちろん存在しませんでした。400年前はおそらく沼地だったのだと妄想。ちょうど線路の辺りで海抜がガクンと下がっていることが、それを物語っているようです。

一行は浮月楼の敷地内へ。浮月楼は、元は代官屋敷だった所を、明治に入って徳川慶喜公が庭を作り、住まわれた歴史ある場所です。お庭を一周歩かせていただく途中、小さな社を発見。

メンバー「これ、富士山の方を向いてたりして・・・」
メンバー「いやもしかして駿府城の方を向いているのでは?」
一同「あ!駿府城だ!きっとそうだ!(妄想)」

今日も順調に妄想が進んでおります。
敷地の外に出たところで、ちょうど町名碑を発見。説明書きには当時の地図が記されており、昔はさらに敷地が広く、今は離れている宝台院と浮月楼が実は隣接していたという記録が・・・!広大だったのですね!ちなみに紺屋町の由来は、染め物屋さんがあったこと。すぐ隣に呉服町があるのも、偶然ではなさそうです。

メンバー「隣町の呉服屋さんが染めた反物を品定めしに来ていたかもね。」
井上「流行の柄をリサーチしに来てたりして。(妄想)」

紺屋町(現存)

染め物屋があった町。

あまりの通行人の視線にポーズはとれず、通常モードでパチリ・笑

続いてメインストリートへと進みます。

通称スクランブル交差点を渡れば、そこは呉服町。今は三丁目ですが、昔は”六”丁目までありました。通りを挟んで向かい同士が同じ町という、駿府九十六ヶ町の特徴を復習しながら歩きます。意識して歩いていると、実は東海道の絵が飾ってあったり「呉服町の歴史」という解説が立っていたりと、歴史を感じるポイントを発見することができました。

ところで、呉服町にある「ふしみや」。なんと、400年前に家康公と一緒に伏見から来たお店なんだそうです。馴染みの深い店の意外な歴史に、一同ビックリ!

次なる町は、城下町で最も賑わっていた交差点「札ノ辻」。町奉行所のすぐ近くで、一番人通りの多い所。たしかに札(奉行からの連絡札)を掲げるには最も適した町です。交差点の一角に駿府九十六ヶ町の全景が見られる「駿府鳥瞰図」を発見!これは、わかりやすい!(バーガーキングさんの階段下です)

町奉行所の跡地に立ち寄り石碑を見学。お城があった所が公園となり、町奉行所だった所が市役所になり・・・400年という長い年月にも関わらず、基本的な機能が変わっていないことに親しみを覚えますね。

さらになんと、近くのビルの入り口に家康公在城時の町地図を発見!実際に住んでいた武士や、職業・町人の名前まで記してあります。この地図、もっと静岡の皆さんに知ってほしい・・・!

札ノ辻

高札場があった町。

札を見る町人ポーズ

引き続き、呉服町を本通り方面へ進みます。夕暮れ時の静かな通りを歩きながら、400年前はどんな音がしていたのかという話題に。馬の蹄の音、台車を引く音、草履で土を踏みしめる音、虫の音、商店の呼び込みの声・・・妄想が膨らみます。

と、ここでついに呉服町の町名碑を発見!静岡銀行本店前に、静かに鎮座していました。

呉服町(現存)

呉服屋があった町。

お着物、着てる風ポーズ

本通りを安倍川方面に曲がり、かつて銀貨を製造・発行していた銀座があった両替町を歩きます。こんな碑も発見!かつては日本経済の中心だったという証が誇らしい。。。東京の銀座には、駿府から移ったということを記した碑があるそうです。

ちょうど青葉通りにさしかかったところで、ついに本日ラストの町名碑を確認。日が暮れかけている中、すべりこみで撮影成功!

両替町(現存)

銀座があった町。

銭!銭!銭メガネ!!

400年前から変わらない”賑やかなメインストリート”を歩いた、今回の妄想まちあるき。最後に参加メンバーの皆さんに感想を聞いてみました。

「まちの賑やかさを改めて感じました。」

「400年前も今も変わらず、この辺りが賑やかで良かったなと思いました。次の400年も賑やかであり続けてくれたらいいなと思いました。」

「普段何気なく歩いている所にも、至る所に実は歴史を知るヒントやきっかけがあるなと気づきました。ただ歩くよりも、意味を考えて歩いた方が楽しい!」

「旅先でも、こんな風に歩いてみたくなりました。」

「この辺りは静岡市民が一番来ることが多いエリアだけど、用事を済ませに来るだけじゃなく、歴史を探りながら歩いたことで、いつもと違った視点で見ることができました。今日学んだことを、人に教えてあげたいなと思いました。」

「今日も勉強になりました。エリアがよく通る所だったので、特に楽しかったです。」

次回は旧東海道沿いの町を、妄想まちあるき!どうぞお楽しみに。


講師:石川たか子さん

生まれも育ちも駿府・静岡。株式会社丸伸代表取締役。静岡の魅力的な文化を再確認する「シズオカ文化クラブ」の代表幹事。静岡市文化振興財団評議員。静岡県立美術館協議会委員。静岡の歴史文化を継承する地域活動を多数実施している。趣味は相撲グッズの収集、相撲甚句、地域活動、国内温泉旅行など。

アーカイブ

タグ