しずおかのひみつ探し「ひ」編
※諸事情により記事の日付が2014年と表示されていますが、実際は2022年2月22日の記事です。
実を言うと「ひ」の文字はなかなか見つからなかった。
そもそもまちの看板に「ひ」自体が少なすぎることにも気づいた。まことにナンセンスな新発見だと思うけど。
でもひょんなタイミングで、ついに私は運命の「ひ」に出会ったのだ。それはメンバー・菅沼との打ち合わせのため繁華街の西側エリアを早足で歩いていた時。
目に飛び込んできたのは「ひょうたん横丁」の看板。ひの最後の「止め」部分が、何とも言えないチャーミングな終わり方をしている。私には音符の旗(♪右側についたひょろっとした所)に見えた。
ふと脳裏に浮かぶは、、、
シズオカオーケストラ。
というわけで勝手な親近感を覚えつつ潜入を試みることに。ちょうどまちはまん延防止等重点措置中でひょうたん横丁も暗かったけれど、一番奥で赤い提灯が灯っているのが見えた。看板には「あやちゃん」と書いてある。ディープスポットすぎて、さすがにひよる私たち、、、。
と、ここで予想外の展開。たまたまお店に戻るところだった、あやちゃんのお向かいにある「美代志寿司」の奥さんにお話を聞くことができたのだ。とはいえ最初は見知らぬ二人に「??」だったけれど。私たちは穏やかな奥さんのお人柄にほっとしつつ、ひょうたん横丁の文字を使わせてほしいこと、横丁のオーナーさんに連絡を取りたいことを伝える。すると帰ってきたのは意外な言葉だった。
「もともとここはひょうたんという広~い料亭だったの」
な・る・ほ・ど。それでひょうたん横丁。じゃあオーナーさんはその料亭の方・・・?と思ったら、そんな安易な発想など吹き飛ばされてしまう展開が待っていた。詳しくは書けないが、どうやら料亭のご主が良い人すぎてお店は閉じることとなり、敷地を9つに分割して、現在の9名のオーナーに買ってもらったということらしい。
良い話すぎる。
そんなわけで、ひょうたん横丁は昭和32年に生まれた。そして初代看板が朽ちた20年前に現在の看板に変わったと。ちなみにあの自体は昔から変わらないと言う。ひたすら良い話である。
奥さんにお礼を伝え、私たちは「あやちゃん」に入ることにした。特別な世界に迷い込んだような気持ちだった。
あやちゃんのお母さんは83歳!43年間このひょうたん横丁でお店をされている。今聞いてきた横丁の歴史についても、おおむね同じことを話しながら瓶ビールを出してくれる。
お通しの半熟卵も真っ黒のおでんも最高だったけど、その場で焼いてくれた手羽先も忘れられない。焼き始める前に一言。
「換気扇がうるさくなるけど、ごめんね」
「これが壊れたらお店辞めようと思ってるのよ・笑」
確かに大きな音だけど心地よい。カウンターの頭上にかかったメニューを眺めながら、壊れない換気扇はきっとお母さんに「お店を続けて」と言っているのだろう。そう思った。
おまけの話がある。
あやちゃんのお母さんが、料亭ひょうたんの敷地にあった池の石が残っているというので、帰りがけに見せてもらうことにした。
お店の赤い提灯の脇に置かれたお母さんの自転車。
そのすぐ奥には、、、たしかに石があった。
まちって、本当におもしろい。
#ひょうたん横丁 #しずおかのひみつ