しずおかのひみつ探し「つ」編
※諸事情により記事の日付が2014年と表示されていますが、実際は2022年2月22日の記事です。
スクランブル交差点と呼ばれる街のど真ん中。その交差点の一角にある化粧品屋さん「カウンセリングショップいづみ」。ひらりと軽やかな「つ」がかわいくて最後の1文字を拝借したいと思った。
奥で調べ物中の女性に声をかけ、その旨を伝えてみる。同時にお店の話を聞かせてほしいとお願いすると、お店の主はチャーミングな微笑みとともに快く受けてくれた。
「暇だから大丈夫よ。今日は雨で人が全然いないの、せっかくの3連休なのに。」
それから1時間近く、私たちは話をした。
お客さんの高齢化のこと。
コロナで街の様子は変わってしまったこと。
お店の歴史のこと。
「私の母親の代だから、昭和22年から。戦後すぐバラックみたいな建物で始まったって。昔ここの隣にあった蝶屋ってとんかつ屋知ってる?その蝶屋さんが「あんたっちはうちと同じだよ」って言うから、その年で間違いないと思う。」
なんでもはじめは小間物を売ってたけど、そのうち化粧品を扱うようになったとか。静岡であの資生堂を扱うようになった18番目のお店らしい。
「18番より前のお店はもうなくなっちゃっているかもしれないね。例えばこの化粧水とかは、形を変えてずっとあるものなの。」
お母様を早くに亡くされ、表の文字がいつから使われているかは定かでないらしい。
「このショップカードもそうよね」
とかわいらしいカードを見せてくれた。イラストは以前のものを真似して店主自ら描いたそうだ。それがかえって良い味を出していると思う。ちなみにこのカードを作ってくれてた印刷屋さんもお亡くなりになってしまったらしい。時は無情だ。
美容の話もした。
眉間のしわを伸ばしたいアラフォーメンバー井上の悩みを伝えたところ、店主からのアドバイスは「手アイロン」。クリームを手にとって実演してくださる優しさよ。
ユーモアとアイディアに溢れた店主は、手が空くと店頭POPを手動で簡単に切り替える装置も開発してた。
「美容って健康にも良いのよ。毎日鏡見て自分の顔を触ったりお化粧する、それだけで認知症予防になるの。」
確かにコロナで大好きなデパートに行く回数が減ってしまった私の祖母は、急に衰えた。私よりお化粧が上手だしブランドのマニキュアとかもたくさん持っていたけど、出番はなくなってしまった。そんな祖母を思い出した。
春になったら祖母に口紅をプレゼントしようかな。
そんなことを考えながら雨の帰り道を歩いた。
#カウンセリングショップいづみ #しずおかのひみつ